自分の考えるSalesforce導入の流れについて紹介します。今回のPart1では導入検討時についての話となります。
導入検討時に最初に考慮しておくこと
Salesforceを導入しようと考える理由はいろいろあると思います。Salesforceで何をしたいのか熟考すべきという話を聞いたりもしますが、基本的には下記に関するしっかりとした仕組みを社内に構築したいという前提があればSalesforceを導入するメリットがあると思います。
- 顧客情報を管理する仕組みが必要である。
- 営業案件の情報を管理する仕組みが必要である。
※Salesforceを正しく活用するにはしっかりした設計とカスタマイズが必要になります。業務に役立つシステムの導入と意識して予算やリソースなどしっかりと準備することが大切だと思います。
導入製品について意識する
Salesforceは各分野に合わせた機能ごとに製品が用意されています。会社にとって必要な製品の名称について事前にチェックしておくと、セールスフォース社の営業の方との導入時のやりとりがスムーズに進めやすくなると思います。
Salesforceの製品について
- Sales Cloud : 顧客管理と営業案件管理の仕組み構築のための製品★
- Service Cloud : 製品やサービスの問い合わせ管理の仕組み構築のための製品
- Community Cloud : 顧客やパートナーに提供できるシステムを構築する製品
- Marketing Cloud : マーケティング管理の仕組みを構築するための製品
- Analytics Cloud : データ分析に特化した機能を使うための製品
まずは「Sales Cloud」を導入して顧客管理と営業案件管理の仕組みの構築から開始することでSalesforce導入による効果を得られやすいと思います。各製品ごとにシームレスなデータ連携が可能となっているため、Sales Cloudで構築した仕組みをベースに他の製品を追加していくことで業務に合わせたシステムづくりを進めていけるようになっています。
セールスフォース社に問い合わせ
セールスフォースのWebサイトに問い合わせフォームがあります。そちらから製品導入について相談したいことを連絡すると担当の方から今後の流れなどについての返信があると思います。(この部分の対応はしたことがないので推測です)
無料トライアルについて
Webサイトから無料トライアルを申し込んで実際にSalesforceを試しに動かしてみることも可能です。もし社内のシステム部門などで動作の確認をしたい場合などはこのトライアル環境でさわってみると良いと思います。
ただし、有識者がいない状態でさわってもせっかくのトライアル期間の日数を消費するだけになってしまう可能性が高いと思いますので、ひとまずはセールスフォース社に製品導入検討についての問い合わせを行い、製品についての説明を受けるところから始めると良いのではと個人的には思います。
セールスフォース社の方とのミーティング
問い合わせ後に細かいやりとりは発生すると思いますが、最終的にセールスフォース社の担当営業の方に製品紹介と導入に向けた相談をする場を設けてもらう形になると思います。
過去に製品導入の検討などでミーティングに参加したことがありますが、担当営業の方はしっかりとサポートしてくれるので不明点や実現したいことを含めていろいろと相談できると思います。(セールスフォース社の方からの説明を聞くだけの受け身の体制だとせっかくの場がもったいないので導入に向けて積極的に話をすると有意義な場になると思います)
基本的に導入検討時に確認が必要な不明点は営業の方とのやりとりで解決できると思います。実際のデモを見た後に必要であればトライアル環境をさわってみたりするのもいいと思います。システム化に向けて実現できないと困ることがあれば相談しておきましょう。
導入が決まったら
Salesforceの製品自体に関する不明点についてはセールスフォース社の営業の方やサポートチームに相談に乗ってもらえますが、社内の業務に合わせた要件定義やカスタマイズ対応は自分たちで対応する必要があります。
知見の無い人が手探りで対応してもある程度は形になると思いますが、拡張性を落とさずしっかりしたシステム構築のためには下記のようなカスタマイズできる人を確保するのが望ましいです。
- ① Salesforceの開発とカスタマイズのノウハウがある社内エンジニア
- ② Salesforce導入支援のノウハウがある開発会社
①のSalesforce開発のノウハウがある社内エンジニアを確保できれば要件定義やフィードバックを受けての改修作業などのやりとりが多少スムーズになると思います。ただ導入のタイミングでSalesforce開発をやっている社内エンジニアを確保するのはちょっとむずかしいと思いますので、基本は②の開発会社に依頼するのが良いと思います。
10年以上様々な企業のSalesforce導入支援に携わってきた企業も多数ありますのでそうした企業に依頼すればノウハウを活かして適切に導入時のカスタマイズを進められると思います。(極少数ですがやっつけ対応されてしまう場合もあるので、きちんと支援してもらえるかはよく相談した方が良いと思います。)
ライセンスの購入について
Salesforceの利用にはライセンスが必要になります。1人のユーザ(従業員)に対して1ライセンスを割り当てて使っていく形となっています。
1ライセンスを複数ユーザで使う方法はSalesforce社の規約に違反するなどの理由でNGとなっていますが、規約がなかったとしても1ライセンスを複数の従業員で使用することはデメリットが多く発生します。
Salesforceを活用していく上で重要なのは業務に関するデータが格納されていくだけではなく誰が/いつ/何をやったかが記録されていくことにあります。仕事が順調な人がいれば進め方を参考にしたり、問題に悩んでいる人が記録を確認して課題の解決に協力したりと、そういった情報共有が気軽に実施できるようになるのがSalesforceのメリットだと思います。
作業者が不明な形で運用するとこうした情報共有が発生せず逆にトラブル発生時の犯人探しのようなことが起きてしまい健全な業務の妨げになってしまいます。(Salesforceに関わらず、すべての業務システム/ツールで言えることだと思います。)
Salesforceライセンスの購入時にはもう一つ考慮が必要です。利用する従業員用のライセンスとは別に最低1つ、システムアカウントのためのライセンスを用意しましょう。このアカウントの用途はバッチ処理やシステム連携処理などの個人に依存しないシステムが自動実行する際のユーザとして利用します。
システム管理者の役割を持つ従業員も当然1ライセンス1ユーザの割当で運用します。日常業務はそのユーザで実施するのが望ましいのですが、定期的に自動実行で動かすデータの一括更新処理のをそうした個人のユーザアカウントで実行してしまうと、トラブル発生時にその人が更新作業を実施したのか、夜間バッチでシステムが一括実行したかの切り分けができなくなってしまいます。その他にも個人の管理者ユーザに割り当てているとその方のユーザが無効になったりした際にバッチ実行処理がエラーとなって止まってしまう懸念が発生します。
上記のとおり、ライセンスは1ユーザ1ライセンスの割り当てで運用し、従業員用とは別にシステム用のライセンスも追加で用意してバッチ実行ユーザに割り当てて運用するのがオススメです。
開発会社の方へのライセンス付与
導入支援を行ってくれる開発会社の方へも管理者権限を持つライセンスを用意するのが望ましいです。基本的には1社につき最低1ライセンス付与しておく体制にしておくのが良いと思います。Salesforceではデータの登録作業以外だけではなく設定変更の記録も残るようになっているので、作業者にもきちんとライセンスを用意して機能追加の記録を正しく残せるようにしておくと健全なシステム開発が進められると思います。
まとめ
Salesforce導入の流れのPart 1は以上となります。Salesforceの導入についてはセールスフォース社に問い合わせすることで検討時に確認が必要な不明点はだいたい解決できると思います。導入後の業務に合わせたカスタマイズ作業や技術的な課題は開発会社に依頼して進めていくのが良いと思います。